今年の夏もキミを想う…。
大輪の花を咲かせるひまわりが描かれた便箋を手に、宮崎は窓の向こうを見つめる。
シャワーのように降り注ぐ細かい雨粒が、風が吹くたびに窓ガラスに当たって弾けていた。
『次はさ、ひまわり見に行かない?すっごくいっぱいひまわりが咲いてる、とっても綺麗な場所を見つけたんだ!』
そう得意げに高知が話していたのが、海から帰ってきた日のことで。
疲れと眠気と、原因不明の頭痛に悩まされていた宮崎は、早く帰りたい一心で、珍しく素直に頷いていた。
その常にない素直さに気をよくした高知が、率先して予定を立てたところまでは良かったのだが……当日は、あいにくの雨模様だった。
『雨だって、傘をさせば見に行けるよ!』と強く訴える高知を、電話越しに何とか説得したのが三十分ほど前で。
高知から“今日の予定は延期にする”とのかなり不満げなメールが届いたのが、ついさっき。
思いがけず暇になった宮崎は、窓を閉め切ってムシムシした自分の部屋で、扇風機を回して宿題に勤しんでいた。