今年の夏もキミを想う…。
ドキドキする心臓を落ち着けるように小さく深呼吸して、和果子は努めて何でもないような表情で再び冷蔵庫の中に視線を戻した。
「宮崎、中華麺ってある?」
「中華麺?……はないけど、そうめんなら山ほどある」
「じゃあ、それでいい」
冷蔵庫から卵とハムを取り出し、野菜室を開けて目に付いたレタスときゅうり、プチトマトも手に取る。
「夏だし、冷やし中華でどう?あっ、麺はそうめんだから……冷やし中華風そうめんかな」
「おっ、いいな。夏はやっぱり冷やし中華だよな。俺、冷やし中華好きなんだ」
“好き”という言葉に、また少しだけ和果子の心臓が跳ねた。
「何か手伝うか?」
「あっ、うん。じゃあ……野菜は軽く洗って、レタスちぎっておいて。あっ、その前にお湯沸かして、お湯」
ぼんやりしていた和果子は、宮崎の言葉にハッとして我に返る。
かがんでシンクの下から鍋を取り出した宮崎が、そこに水を張る音を聞いて、またしてもハッとした和果子は、再び冷蔵庫を開けると、ドアポケットからドレッシングの瓶を取り出した。
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