今年の夏もキミを想う…。


「あっ、柚花ちゃん。こんにちは」

「こんにちは、和果子さん。それから……宮崎さんも。勝手にお邪魔して、すいません」


律儀にぺこりと頭を下げる柚花に、「柚花ちゃん、麦茶飲む?」と和果子が台所へと立ち上がる。


「あっ、すいません……!」


慌ててあとを追った柚花に、「あっ、和果子ちゃん!オレも麦茶ー」と高知がようやく宮崎の首から腕を離す。

いつの間にか、家の中が大変賑やかになっていた。


「なんなんですか、もう。来るときはせめてメールしてくださいよ。あと、招いてないのに勝手に中に入って来ないでください」

「インターホン鳴らしたじゃん」

「鳴らしたら誰か出てくるまで待ってるもんでしょ!」


よほど二人で会っていた事が気に障ったのか、子供みたいにベーっと舌を出してくる高知に、宮崎は苛立ちを押し込めて深々とため息をつく。
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