今年の夏もキミを想う…。


「せっかく四人もいるんだし、トランプでもする?」


空を覆っている雲と同じに、どんよりとしたその雰囲気に耐え兼ねたのか、和果子が様子を伺うように提案する。

三つの視線が注がれていることも知らず、力なくうなだれていた高知は、程なくして突然勢いよく顔を上げた。


「うん、いいねトランプ。やろう!」


勢い込んで上げた高知の腕が、ガタンと音を立ててテーブルにぶつかり、乗っていたコップが僅かに揺れる。


「じゃあトランプ持ってくる。先輩、麦茶こぼさないでくださいね」


立ち上がって不安げにテーブルを見やる宮崎に、高知は「うん!」と大変いいお返事で、笑顔でひらひらと手を振った。





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