今年の夏もキミを想う…。
「じゃああたしも、そろそろ帰ろうかな。若様にご飯あげなきゃだし」
「おう、そうか」
二人のあとに続いて立ち上がった和果子に、宮崎も一緒になって玄関に向かう。
「送って行こうか?」
何気なく口にした言葉に、和果子だけでなく、なぜか高知までもが振り返った。
「大丈夫だよ、宮崎。途中までオレ達と一緒だし」
高知の言葉に、今度は柚花も振り返る。
何か言おうとして開きかけていた和果子の口が、何も言わずに静かに閉じていく。
「うん、大丈夫……」と呟かれた和果子の表情は、心なしか残念そうだった。
「じゃあ、気をつけてな。先輩と柚花ちゃんも、気をつけて」
「お邪魔しました……」
「また、そのうち」
律儀にぺこりと頭を下げる柚花と、軽い調子でひらりと片手を振る和果子。
そんな中、高知だけが、立ち止まったままジッと宮崎のことを見つめていた。
「ねえ、宮崎」
先に外に出た和果子と柚花が、ドアを抑えて、中々出てこない高知を振り返って待っている。