今年の夏もキミを想う…。
ぼんやりと立ち尽くしている宮崎のすぐ前まで来たとき、彼女は「あっ……」と小さく口を開けると、次いでクスクスと押し殺したように笑い出した。
突然何が起きたのかと、不思議そうに首を傾げる宮崎の肩に
「みーやっざき!」
突如、重たいものがのしかかってきた。
「うわっ!?」
押しつぶされそうな重みに耐えながら、顔だけ後ろに向けてみれば、してやったり顔の高知が目に入った。
「気づいてたなら、なんで教えてくれないんだよ」
今度は恨めしげな視線を彼女に向ければ、「だって」と口を開いて、またクスクスと楽しげに笑いだす。
「高知くんが、“しー”って言うから」
人差し指を唇に当てて、高知の真似をしてみせる彼女から、宮崎は再び視線を背後に向ける。
ほんのついさっきまで漂っていたシリアスな雰囲気が、高知の登場によって全て吹き飛んでいってしまった。