今年の夏もキミを想う…。


「弟妹がたくさんいるっていいね、凄く楽しそう」


そう言えば彼女は、小さい頃ままごと遊びをする時なんかにも、必ずお姉さん役をやりたがっていた。


「さてと、じゃあ弟くん達!お姉ちゃんが自動販売機でジュースを買ってあげよう」


突然姉貴風を吹かせ始めた彼女に、高知はノリノリで「わーい」と子供じみた声を上げる。

早速走り出した高知のあとを追って、彼女もまた履いていたひざ下丈のスカートをふわりと揺らして、宮崎を追い抜き駆けていく。


「何してるの、宮崎くん。ほら、早く!」


すれ違いざまにそう言って、楽しそうに彼女が笑った。

ふわりふわりとスカートを揺らして駆けていく彼女と、その遥か前方をスキップ走りで遠ざかっていく高知の、その二つの背中をしばらく見つめて、深々とため息をついてから、宮崎もあとを追って走り出した……。






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