今年の夏もキミを想う…。
「あっ、宮崎遅い!あっつくて溶けるかと思った」
「わるい、わるい。ほら、お詫びにジュース買ってきたから」
日陰のない道の端で立ち尽くしていた和果子の前で、宮崎はブレーキを握って自転車を止める。
ムスっとした和果子に謝罪しながら前カゴを指させば、その表情がいくらか和らいだ。
「まあ、宮崎にしては気がきいてるから、特別に許す」
「それはどうも」
何とか和果子の機嫌を治す事に成功した宮崎は、ホッと胸を撫で下ろして自転車から下りる。
「柚花ちゃんは?」
「あんたが遅いから先に行った。と言ってやりたいところだけど、結構早い時間から先に行ってたみたい」
和果子のチクチクと刺さる言葉を黙って受け止めながら、間に自転車を挟んで、二人は山道をのぼっていく。