今年の夏もキミを想う…。


「柚花ちゃんって、絵がうまいんだね」


宮崎の賞賛に、柚花はまた照れたように恥ずかしそうに笑って、「そんなことないです……」とぽそぽそと呟き、再び目の前の景色に視線を戻す。

宮崎も、それを追いかけるようにして同じ景色を眺めた。

遠くの方に、町が見える。

この村にはない、けれど皆が当たり前のように見慣れている看板が、そこかしこにぼんやりと見えた。


「美術の宿題、何を描いたらいいか悩んでて……そしたら高知さんが、この場所を教えてくれたんです」
< 184 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop