今年の夏もキミを想う…。
柚花の邪魔にならないように気を使ってか、和果子は宮崎の腕を取って、無言のままにグイグイと引っ張っていく。
「あんたね、人に携帯押し付けて。高知先輩、怒ってたからね。鬼電と、鬼メール、覚悟したほうがいいよ」
先ほど二人で立っていたのと同じ辺りまで移動して、和果子が不機嫌そうに宮崎に携帯を差し出す。
それを黙って受け取ってポケットにしまった宮崎に、和果子は表情を一変させて首を傾げた。
「宮崎……?」
不思議そうに顔を覗き込んでくる和果子の視線に、ハッとして我に返った宮崎は、咄嗟に困ったような表情を作る。
「鬼メールも、鬼電も、どっちも迷惑だからやめてほしい」
「自業自得」
ため息までついてみせる宮崎に、和果子もまた呆れたように息をついた。