今年の夏もキミを想う…。

“さっぱりしてて、すっきり”と言う言葉に、手紙に綴られていた彼女の文面を思い出す。

興味深そうに瓶を眺める宮崎に、和果子が不思議そうに首を傾げる。


「なに?あんた夏バテなの」

「いや、俺じゃなくてさ」


顔を上げた宮崎が、徐ろに後ろのポケットに手を持っていくのを見て、和果子は納得した。


「……なるほどね、日向さんか」


独り言じみた和果子の呟きに、今度は宮崎が驚いたように目を見張る。


「なんでわかったんだ?実はエスパーなのか……」

「そんな訳ないでしょ」


「ん」と指さされたのは、今にもポケットに触れそうになっていた手。


「日向さんの事になると、ポケットに手を伸ばす癖、相変わらずだよね」


それが無意識だったが故に、指摘されると何だか恥ずかしさがこみ上げて、思わず手を引っ込めたが既に遅く、和果子の視線は手紙が入っているポケットの方に注がれる。
< 20 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop