今年の夏もキミを想う…。
“さっぱりしてて、すっきり”と言う言葉に、手紙に綴られていた彼女の文面を思い出す。
興味深そうに瓶を眺める宮崎に、和果子が不思議そうに首を傾げる。
「なに?あんた夏バテなの」
「いや、俺じゃなくてさ」
顔を上げた宮崎が、徐ろに後ろのポケットに手を持っていくのを見て、和果子は納得した。
「……なるほどね、日向さんか」
独り言じみた和果子の呟きに、今度は宮崎が驚いたように目を見張る。
「なんでわかったんだ?実はエスパーなのか……」
「そんな訳ないでしょ」
「ん」と指さされたのは、今にもポケットに触れそうになっていた手。
「日向さんの事になると、ポケットに手を伸ばす癖、相変わらずだよね」
それが無意識だったが故に、指摘されると何だか恥ずかしさがこみ上げて、思わず手を引っ込めたが既に遅く、和果子の視線は手紙が入っているポケットの方に注がれる。