今年の夏もキミを想う…。
まるで自分のことのように、満面の笑顔で喜ぶ宮崎に、和果子は震えそうになる唇をギュッと引き結んで、精一杯頬を持ち上げて笑い返す。
「じゃあ、ちょっともう一回詰めてくるから。少し待ってて」
「おう、悪いな」
立ち上がって足早に部屋を出て行く和果子に、宮崎は上機嫌でひらひらと手を振る。
すると、ピクリと耳を動かして顔を上げた若様が、和果子の後を追うようにして、のっそりと部屋を出て行った。
誰もいなくなった部屋で、宮崎は後ろに手をついて天井を見上げる。
小学生の頃から何度も訪れて見知った天井は、あの頃よりもだいぶ色あせて見えた。
「これであいつも、ゼリーじゃなくて、ちゃんとご飯が食べられるな」
喜ぶ彼女の笑顔を思い浮かべて、宮崎は晴れやかな気分でその天井を見上げていた。
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