今年の夏もキミを想う…。
「そうだな。和果子も会いたがってたって、伝えとく」
「うん……」
少しだけ寂しげな雰囲気をまとったその声に、しかし宮崎は気がつかない。
縁側から見える空にスッと視線を移して、ここにはいない彼女の事を考えているであろうその横顔に、和果子はそっと目を伏せる。
俯いたその視線の先に、そっと布巾が差し出された。
僅かに顔を上げれば、祖母が微笑んでこちらを見つめている。
その布巾を受け取って指先を拭った時、切なさと苦しさがどっと押し寄せてきて、ほんの少しだけ涙が出そうになった。