今年の夏もキミを想う…。
その便箋には、桜が咲いていた。
どう考えても季節外れだなと思いながら、宮崎は止めていた手を再び動かす。
カップの中に木のスプーンを差し込んで、凍ったバニラをひとすくい。
部屋にこもった熱気でゆるゆると溶けていくそれを口に含めば、じんわりとした冷たさが舌の上に広がっていった。
開け放った窓からはセミの大合唱と共に、太陽に温められたぬるい風が流れ込んできて、それらを全部まとめて回り続ける扇風機がかき混ぜる。
アイスのカップを持った手と、木のスプーンを咥えた口の中だけがひんやりとしていて、あとはうだるように暑い。
あまりの暑さに、アイスが溶けていく速度も速い。
ただの甘ったるい液体と化す前に食べきろうと、宮崎はスプーンの動きを早めた。
「う……痛っ」
不意に襲い来るキーンとした痛みに、一旦アイスをテーブルの上に放棄して、宮崎は頭を抱え込むように体を丸める。