今年の夏もキミを想う…。
高知は特別講義で大学へと戻り、柚花もまた部活の合宿で村を出てしまった。
そして先日、和果子も急な文化祭の打ち合わせで町に戻ってから、宮崎は日がな一日、こうして何をするでもなく、ただダラダラと過ごす日々を謳歌していた。
『あたし、明日戻ることになったから。だから』
帰る前日に、わざわざ電話をかけてきた和果子の声が、不意に頭の中に蘇る。
『だから……また、来年ね』
高知も講義で忙しいのか、あれ以来鬼電も鬼メールも受信することはない。
玄関に鍵をかけずとも、ずかずかと部屋に上がり込んでくる者はいないし、のんびりとした時間を邪魔する、無粋な携帯の着信音もしない。
幾分頭痛が回復したところで、宮崎は再びアイスのカップを手に取った。
「あーあ……」
アイスを乗せた木のスプーンをパクリと咥えて、宮崎は天井を仰ぎ見る。
ひとりぼっちの夏休みは、嬉しい気持ちよりも寂しさや物足りなさが先に立つ。