今年の夏もキミを想う…。

「和果子や柚花ちゃんはいいとして、なんでそこに高知先輩も入ってるんだよ」


心臓の高鳴りに気づかれないように、宮崎はほんの少し不機嫌そうに言い返す。

それを聞いて、また彼女が可笑しそうに声を上げて笑った。


「だって、仲良しでしょ？高知くんと宮崎くんは」

「別に、普通だよ……」


自分でも子供じみて聞こえるその反論に、彼女はお姉さんぶって笑ってみせた。


「あんな後輩思いの素敵な先輩は、滅多に出会えないものよ？大切にしなくちゃダメでしょ、宮崎くん」


反論したい気持ちは大いにあったが、言葉がすぐには出てこなかった。

仕方がないので、楽しそうな彼女の声を聞きながら、宮崎は黙ってペダルを漕ぎ続ける。

何だかカップルみたいだなとか、これってひょっとしてデートなのか、なんて思いをひっそりと胸に秘めて、宮崎の漕ぐ二人乗りの自転車は、風を切って進んでいく……。