今年の夏もキミを想う…。


「正解を見つけるだけが、人生じゃないのよ宮崎くん。時には道に迷って、その迷った先で素敵なものを見つけるのも、人生の醍醐味なんだから」


彼女が指差す先には、立派な大木があった。

二人が体重をかけてぶら下がっても、ビクともしないような太い枝から、ぷらんとロープが垂れていて、その下には色あせた木の板が取り付けられている。


「あの桜のブランコもね、お使いの帰りに寄り道して、散々道に迷った末に見つけたものなの。だからね宮崎くん、迷子になってみるのも、たまにはいいものだってこと」


達筆な字で半紙にでも書いて飾っておけば映えそうな言葉を、本人はさして深く考えることもなく口にする。
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