今年の夏もキミを想う…。


「お待たせ」


ドンッと威勢良くテーブルを叩く音に、仰向けで寝転がっていた宮崎はビクッとして体を起こす。


「……どうしたんだ、和果子。何かさっきより鼻が赤くないか?あと目の周りも」

「……気のせいよ。あっ、あとこれ」


尚も不思議そうに顔から視線を離さない宮崎に、和果子は半分に折りたたまれた紙を差し出して意識をそらす。

案の定、宮崎の興味は直ぐにその紙へと移った。

急いで書いた為少々雑だが、それでも読める程度の丸っこい文字がそこには並んでいる。


「それ、作り方ね。簡単だからすぐにできると思うし、ついでだから一緒に送ってあげたら」

「おおーサンキューな、和果子」


嬉しそうに笑って丁寧に紙を折りたたんだ宮崎は、それを手紙が入っているのと同じポケットにしまった。


「じゃあ用事も済んだし、俺そろそろ帰るわ」

「……そう」


瓶を抱えて立ち上がった宮崎に、和果子が残念そうな声を漏らす。
< 24 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop