今年の夏もキミを想う…。
彼女に言わせれば、悲しい事も辛い事も、苦しくて泣きたくなるような事だって、みんな“人生の醍醐味”という言葉で片付いてしまうのだ。
そうやって時折、卓越した老人みたいな事を言いながら、彼女は子供のように無邪気に生きることを楽しんでいる。
そんなキラキラとした彼女が隣にいるだけで、宮崎は、自分の人生もまた、一緒になってキラキラと輝いていくような気がしていた。
「あっ!こら、危なっ」
なんの前触れもなく自転車から飛び降りた彼女が、桜の大木に向かって走り出す。
「ほら、宮崎くんも早く!」
足場の悪い道を、彼女は時折よろけながら走っていく。
そして振り返って、笑顔で宮崎を手招いた。
五人の中で誰よりも年上とは思えないような、無邪気で子供っぽい笑顔を浮かべる彼女は、夏の日差しに照らされて、眩しい程に輝いていた……。