今年の夏もキミを想う…。


「何って……そんなに急に言われても、思いつかない」


「そっか」と楽しげに笑った彼女が、再びブランコに腰をおろし、力強く大地を蹴り上げる。

彼女の巻き起こした風が、ふわりと宮崎の毛先を浮き上がらせた。


「それよりそのブランコ、ロープが古いんだからそんな風に飛ぶのやめろよ。急に切れたりしたら危ないだろ」


最初は低い位置をゆらゆらと揺れていたブランコが、次第に勢いに乗って高くなる。

宮崎の忠告を聞いているのかいないのか、彼女は楽しそうにブランコを漕いでいた。


「じゃあ宮崎くんは、とてもラッキーね」


不意に、高いところから彼女の声が聞こえた。

次いでブランコが下までおりてくると、楽しそうに笑う彼女と目があう。


「今からじっくり考える時間があるんだもの」


一瞬だけ目が合って、再び彼女を乗せたブランコが遠ざかる。

宮崎は、それを追いかけるようにして視線を動かした。


「私もね、実はこれから決めるのよ」


彼女がどんなに勢いよくブランコを漕いでも、吊り下げられた枝はビクともしない。

逆に、巻きつけられたロープの方が若干危うくて、宮崎は内心かなりヒヤヒヤしていた。
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