今年の夏もキミを想う…。
「残念、曇り」
彼女のお気に入りのサンダルは、見事に横向きに倒れていた。
「ええー!ちゃんと見た?本当に曇り?」
「嘘ついてどうするんだよ」
宮崎はサンダルを拾い上げて、不満げな声を上げる彼女を振り返る。
「じゃあ、悔しいからもう一回!次こそは絶対晴れにする!!」
勢い込んだ宣言が耳に届くと、宮崎が静止の声を上げる間もなく、彼女はもう片方のサンダルも空に向かって放り投げた。
「なんで飛ばすんだよ」
拾い上げたばかりのサンダルを手に、ため息混じりにぼやいた宮崎に、彼女が弾んだ声を上げる。
「ねえ!今度はどっちだった?今度こそ、晴れ?晴れたよね?」
彼女の声に急かされるようにして、宮崎は渋々と飛んでいったサンダルを追いかける。
彼女と過ごす、こんな何気ない夏の日が、これからもずっと、続いていけばいいと思いながら……。