今年の夏もキミを想う…。
「次は絶対、帰ってこいよ」
それまでに、和果子や高知、柚花にも連絡を取って、自分もタイムカプセルに入れるものを決めておこうと思った。
彼女が帰ってきた時には、もう準備万端整えて、驚く彼女に向かって得意げに笑ってやろうと。
ぶわっと勢いよく風が吹いて、青臭い緑の匂いを巻き上げる。
そこら中に生えた雑草がザワザワと揺れ、驚いたように虫が飛び上がった。
流れを早めた雲が、太陽を覆い隠す。
つかの間の日陰を、夏の風が吹き抜けていった。
夏の終わりを予感させる、ほんの少し切ない風が。
不意にポケットで携帯が震えて、宮崎は画面を確認してからボタンを押し、軽く耳に当てる。
「ん?ああ、出したよ。あーはいはい、当たるように祈っとけばいいんでしょ。……今日の晩ご飯?……すき焼きか焼き肉か豚しゃぶって、肉ばっかじゃ……じゃあ、焼き肉で。えっ、食べに行く?わかった、早めに帰る。……和果子の家じゃないって、ちょっと散歩してただけ。大体、和果子はもう家にいないだろ、この間帰ったんだから。うん……はいはい、じゃあね」