今年の夏もキミを想う…。
「わかちゃん、ちょっと他のクラスを偵察してきたんだけね。やっぱりクオリティでは、うちのクラスが一番だと思うの」
「……だからこんなに時間がかかったのか。偵察もいいけど、ちゃんとコピーはしてきてくれた?」
「もちろん!」
ウキウキした様子で教室に入ってきた友人から、和果子はコピーしたばかりのポスターを受け取る。
「はい、ちょっとそこの暇そうな男ども。このポスター貼ってきて」
教室の隅で固まってお喋りに夢中になっていた男子数人が、声をかけられて嫌そうに振り返る。
「なんで俺らだよ」
「委員長が行けばいいだろ、委員長なんだし」
「そうそう。こっちは小道具作りで意外と忙しいんで」
ブツクサとひとしきり文句を垂れて再びお喋りに戻ろうとした男子の元に、足音荒く和果子が歩み寄る。