今年の夏もキミを想う…。


「そんなに全力否定しなくたって。今はそうじゃなくても、候補ってことではあるでしょ?」

「こ、候補ってか……。まあ……誘ってみたら、来る……とは、言ってたけど」


薄らと赤くなって俯く和果子の肩に、友人が「やったじゃん!」と嬉しそうな声を上げて、ポンっと手を乗せる。
その重みに、和果子はそっと俯けていた顔を上げた。


「わかちゃん、女だからってね、待っているだけじゃダメなんだよ!自分から手を伸ばさないと、手に入るものも手に入らないんだから」


やけに真剣な顔で語る友人は、肩に乗せた手にグッと力を込める。


「わたしはね、勉強もスポーツもできて、リーダーシップも取れる、そんなわかちゃんは世界で一番素敵だと思うよ!」


力強く頷いてなぜか本人よりも気合が入りまくっている様子の友人に、和果子はクスリと笑みをこぼす。


「ありがと。嬉しいけど、何か照れる。告白みたいで」

「ええーやだな、そんなこと言われたらわたしだって照れちゃうよ」


えへへと照れくさそうに笑う友人に、和果子は笑顔を返し、その後ろにある窓の向こうに広がった青空を見つめた。





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