今年の夏もキミを想う…。

周りは、見渡す限りの田んぼ。

民家もなければ店もない、遠く離れた十字路に、忘れ去られたような自動販売機が一つあるだけのバス停に、大きなボストンバッグと人影が一つ。

古びたベンチに腰を下ろし、大きく腕を伸ばして体を後ろに倒すと、硬い木の壁が背中を支え、ギシッと危うげな音を立てた。

太陽はまだ元気に大地を照らしているが、セミの声はだいぶ薄らぎ、黙っていれば汗が滲むこともない。

そんな中、宮崎はスッキリと晴れ渡った空を見上げた。





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