今年の夏もキミを想う…。
晴れ渡った青空に、流れる白い雲。
時折吹く風は生ぬるく、否応なく夏の気配を感じた。
「帰る途中、うっかりして割ったりしないでよ」
「わかってるっての」
凹んだカゴに瓶を入れて、そっとスタンドを蹴った宮崎は、自転車を押して歩き出す。
その隣に、和果子が並んだ。
「学校、どんな感じ?」
「まあ……普通、かな。そっちは?」
「こっちも普通かな……。進学校だから、勉強はそれなりに大変だけど」
「そっか」
車通りも人通りもほとんどない道を、自転車を挟んで並んで歩く。
二人の沈黙を埋めるように、騒がしいセミの声が響き渡った。
小学生の頃、よくお菓子を買いに通った駄菓子屋がすぐそこに見え、そのピッタリと閉じたガラス戸の前で、再び和果子が口を開く。
「宮崎さ、夏休みあけたら……時間、あったりする?」
隣を見れば、和果子は足元の小石を見つめていた。