今年の夏もキミを想う…。
終章 手紙
お元気ですか?
俺の方は変わらずです。
結局この夏も帰ってこられなかったこと、みんな寂しがっていました。
あとついでに、あんなに村が大好きだった子が、町に出たら途端に故郷を忘れてしまったと、おじちゃんやおばちゃん達が嘆いてもいました。
その通りなので、フォローはしませんでした。
来年こそは帰ってこられそうですか?
和果子は、若様がいるので次の夏も帰ってくるそうです。
高知先輩も、今度は誰よりも長く村に残ってやると張り切っていました。
柚花ちゃんは、お菓子だけでなく料理も覚えて、帰ってきたみんなをおもてなしすると意気込んでいました。
俺も、来年の夏はまた村で過ごすつもりです。
あの場所で、帰ってきたみんなで、大いに夏を楽しんでやるつもりです。
そういうわけで、皆まで言わずともわかっているとは思いますが、あえて言ってやります。
来年の夏も、俺はあの村で待っています。