今年の夏もキミを想う…。
「まあ……ないことはないけど」
パッと顔を上げた瞬間に、宮崎と正面から視線がぶつかって、和果子はなるべく自然体を装って視線を外す。
「別に、大したことじゃないんだけど。もし、良かったら……文化祭、見に来ないかなって思って」
「文化祭?」
中学生の頃、タイヤがパンクする度にお世話になった自転車屋の、明かりが落とされた店の前、宮崎は瓶を抑えて慎重に段差を乗り越える。
「でも、和果子のところは女子高だろ?」
「最終日に、一般公開もあるから。毎年、他校の男子が来てるのもよく見かけるし……」
考え込むように唇を引き結ぶ宮崎に、和果子は慌てて言葉を続ける。
「一人じゃ来づらいっていうなら、友達とか誘ってくれても全然いいし。そもそも、都合が悪いっていうなら……無理にとは、言わないし」
言葉が尻すぼみになる和果子にチラリと視線を送って、宮崎は再び考え込む。