今年の夏もキミを想う…。
「別に、都合は悪くない……と思う。女子高の文化祭だって言えば、喜んで付き合ってくれそうな奴らも何人かいるし」
とっくの昔に住人は去り、今は大量の野良猫が住み着いて猫屋敷と化している家の前で、宮崎は道端で日向ぼっこする猫を避けるように大回りする。
僅かに距離が離れた二人の間で、猫が起き上がって体を伸ばす。
「いつなんだ?」
「……へ?」
「文化祭」
ぼんやりと足元の小石を見つめて歩いていた和果子の耳に、ため息混じりの声が聞こえる。
「こ、来られるの?」
「行かないなんて言ってないだろ」
再び距離が近づいて、すぐ隣から聞こえた呆れたような宮崎の声に、半ば諦めかけていた和果子は、ぱあっと顔を輝かせる。