今年の夏もキミを想う…。
「あ、後でメールする。一般公開は、時間も決まってるから」
「ああ。んで、和果子は何するんだ?」
「あたしのクラスは、お化け屋敷」
大きな雲が太陽を覆い隠し、道の上に影を作る。
幾分涼しいその中を、二人はゆったりと歩いていく。
「完成度もそんなに悪くないと思うから、期待してもいいよ」
「へえ、それは楽しみだ」
サーっと雲が流れて再び太陽が顔を出すと、ジリジリとした熱気が二人を襲う。
額から流れ落ちた汗をTシャツの袖で拭って、宮崎が口を開く。
「休み中に学校に集まって、準備したりはしないのか?」
「最初はする予定だったんだけど、思いのほか作業が早く進んで。わざわざ休みの日に出てこなくても間に合いそうだからって、あたしのクラスはなしになったの」
和果子もまた、しっとりと額に浮き上がった汗に、手の甲を当てて拭った。
本当は、どうしても帰ってきたくて、クラスメートを急き立てて作業を前倒ししたという事実は、胸の奥にひっそりとしまっておく。