今年の夏もキミを想う…。
「それは良かったな。和果子が帰ってこられないと、若様も寂しがるだろ」
「まあね……」
本当に帰ってきたかった理由はそこではないのだが、正直に伝える勇気もないので、和果子は曖昧に笑ってみせる。
こうして二人で並んで歩く道が、どこまでも続いていけばいいと思った矢先。
「ここでいいよ」
聞きたくなかったセリフと共に、宮崎が足を止めた。
それに合わせて、和果子も仕方なく足を止める。
「今日は本当にありがとな。後日、母さんがお礼に何か持っていくかもしれないけど、遠慮せずに受け取ってくれ」
「ありがとう。でも一応、お気遣いなくって伝えて」
「了解」と笑って、宮崎が歩き出す。
ここから先は、ついていくことができない。
二人で並んで歩く道は、無情にも終わってしまったのだ。
遠ざかっていくその背中に、和果子は思わず声を掛けた。