今年の夏もキミを想う…。


「おーい、宮崎」


不意に、後方から自分を呼ぶ声が聞こえた。

ブレーキを握って自転車を止めて、体制を崩さないように慎重に後ろを振り返ってみると、片手を大きく振りながら自転車をこぐ人物が、ぐんぐんと近づいてきていた。

止まっていた宮崎の隣に、後方から追いついた人物が並ぶ。


「よっす、宮崎!久しぶり」

「高知(こうち)先輩、お久しぶりです」


軽い調子で片手を上げる高知に、宮崎は軽く頭を下げる。

宮崎や和果子の先輩にあたる彼もまた、中学を卒業してから村を出たが、こうして夏休みを利用して帰郷しているうちの一人だった。

当然彼ともこれが久しぶりの再開であるのだが、宮崎はいたって普通で特に感慨もない。

逆に高知は、最初からやたら嬉しそうなハイテンションだった。


「この間和果子ちゃんに会ったらさ、お前も帰ってきてるって言うから、そのうち遊びに行こうと思ってたんだよ!いやあ、まさかここで会えるとは」


興奮気味にバシバシと背中を叩いてくる高知に、宮崎は痛みを堪えて顔を歪める。
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