今年の夏もキミを想う…。
紺地に星を散らしたような模様の浴衣に身を包んだ和果子が、腕を組んで立っている。
いつもはサラリと流した髪も、今日ばかりは高い位置で結えられて、動くたびに髪飾りが揺れている。
薄らと化粧をしていることもあってか、いつもとは違う大人びたその雰囲気に、宮崎は言葉もなく立ち尽くした。
「な、何か言いなさいよ……!」
無言で見つめられることに耐えられなくなったのか、和果子が恥ずかしそうに視線をそらして声を荒らげる。
その声にようやく我に返った宮崎は「悪い……」と小さく呟いた。
「何か、いつもの和果子と違いすぎて……言葉が出てこなかった」
バツが悪そうに頬をかく宮崎に、和果子は薄らと頬が赤らむ。
照れくさくて、でもやっぱり嬉しくて、頑張っておしゃれして良かったと思い、和果子がほんの少し頬を緩めたその時。
「おーい!二人とも」
横合いから陽気な声が聞こえてきた。
同時に顔を上げて視線を送れば、笑顔で手を振りながら駆け寄ってくる高知の姿が見える。