今年の夏もキミを想う…。
「いやあー楽しくなっちゃって、色々見て回ってたら遅くなっちゃったよ。ごめんね、待った?」
「いえ、全然。あたしも、今ついたところで」
「同じくです」
「そっかそっか、なら良かった。おっ、和果子ちゃん浴衣似合うね!大人っぽくって凄く可愛いよ」
慣れた様子で浴衣姿を褒めちぎる高知に、和果子が照れたように笑い返す。
その様子をしばらく眺めていた宮崎は、タイミングを見計らって二人に声を掛けた。
「ええーもう行くの?もうちょっと和果子ちゃんの浴衣姿をさー」
「はいはい、続きは歩きながらにしてください。ほら、行きますよ」
子供っぽく頬を膨らませる高知の背中を押しつつ、宮崎は後ろを振り返る。
それに気づいて、慌てて後を追おうとした和果子は
「っあ……!」
慣れない下駄に足がカクっと折れて、体が前に倒れた。
シャランと髪飾りが音を立てて、後れ毛が耳元を流れる。
襲い来るだろう衝撃に身構えると、すくい上げるようにして腕を掴まれた。