今年の夏もキミを想う…。
「危ないな……」
顔を上げれば、思わぬ至近距離に宮崎の顔があった。
「気をつけろよ」
掴まれた腕が強く引かれ、体制が元に戻る。
また、シャランと髪飾りが鳴った。
「あ、ありがとう……」
何事もなかったかのように、腕を掴んでいた手が離れていく。
チラリと様子を伺えば、「よくやった!」と上機嫌の高知に背中を叩かれる宮崎の姿が見えた。
その姿をしばらく見つめて、和果子は掴まれていた腕にそっと手を当てる。
掴まれた瞬間、力強い中に労わるような優しさを感じた。
まだほんのりと残るぬくもりに、微かに頬が緩む。
「和果子ちゃん、行くよー」
顔を上げれば、大きく手を振る高知の隣で、叩かれた背中をさする宮崎の姿が見えた。
和果子は、小走りで二人の元に駆け寄る。