今年の夏もキミを想う…。


「走ったらまた転ぶぞ」


近づいてみれば、よほど痛かったのか、宮崎は目に薄らと涙を浮かべていた。


「大丈夫?」


堪らず声をかければ、宮崎が険しい目つきで先行する高知の背中を睨み付ける。


「あの人は、加減ってものを知らないんだ」


ボソッと恨めしげに呟く声に、和果子はクスリと笑みをこぼす。


「笑い事じゃないからな」

「わかってるって。高知先輩、見かけによらずバカ力だもんね」


尚もクスクス笑っていると、宮崎の恨めしげな視線が、今度は和果子に向けられる。

その視線にほんの少し恥ずかしそうに目をそらした和果子は、しばらくして宮崎に向き直ると、ほんのり頬を赤く染めて顔を上げた。


「さっきは、ほんとにありがと。助かった」

「あ、ああ……」


いつもとは違う大人びた雰囲気のせいか、思わずドキっとしてしまった宮崎は、咄嗟に言葉に詰まる。
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