今年の夏もキミを想う…。
「和果子ちゃん、良かったらオレがおんぶしてあげようか?疲れたでしょ」
サラリとそう言い放ち笑顔で振り返った高知に、和果子は驚いたように目を見張って、直ぐに恥ずかしそうに首を横に振る。
「ありがとうございます、先輩。でも、そんなことしたら先輩のファンの方達にミンチにされそうなので、遠慮しておきます」
「……オレのファン?それって、村のおばちゃん達のことじゃないよね」
「そう言えばうちのおばあちゃん、高知さんとこの息子さんは、年々男前になって困っちゃうわね。これじゃあ心臓に悪いわ。って言ってました」
「……それって、褒めてるの?」
「どうでしょうね」と楽しそうに笑う和果子に、高知もつられるように笑みをこぼす。
そんな二人の様子を後ろから眺めて、宮崎は徐ろにポケットに手を伸ばした。
かさりと指先に触れた感覚に、ポケットの上からそっと手の平を押し当てる。
ここにいない彼女の顔が頭に浮かんで、ため息が一つこぼれ落ちた。
振り返って見上げれば、先程まで花火が彩っていた空に、今度は光る砂を蒔いたような星が散らばっている。
彼女の事を思って黙って見上げていると、不意に腕を引かれた。