今年の夏もキミを想う…。
間章 高知~あの子を一目見た時から~
初めて会った時、ランドセルを背負っていたあの子は、道端に咲いた野花をジッと見つめ、不意に顔をあげて恥ずかしそうに笑った。
その可愛らしい笑顔を見た瞬間、あの子の事が好きになった。
言ってみれば、一目惚れだった。
でもあの子の視線はいつだって、隣に立つ同じ年の彼に注がれていることには、とっくの昔に気がついていた。
愛おしそうな、でも切なそうなその瞳。
後輩である彼の事も、もちろんかわいく思っていた。
けれど同時に、憎らしくもあった。
あの子の視線を独占している彼が、それなのにそのことに気がついていない彼が、どうしようもなく……。
なぜオレではダメなのか、どうしても彼でなければならないのか。
何度も何度も考えて、考えるたびに不毛すぎて笑えた。
答えなんて、最初からよくわかっている。
オレにとって、愛おしい存在があの子であるように。
あの子にとって、愛おしい存在は彼なのだ。