今年の夏もキミを想う…。
「これ……、休み中も鳴らしてるんだ」
「いえ、今日は特別に。……久しぶりに帰ってきた卒業生の皆さんに、懐かしい気持ちに浸ってもらおうということで、鳴らしているそうです」
鳴り響く鐘の音を聞きながら、思惑通り懐かしい気持ちに浸った宮崎は、やや後方に立つ柚花に笑ってみせる。
「鐘も鳴ったことだし、遅刻しないうちに行こうか。のんびりしてると、高知先輩にどやされそうだし」
「そう……ですね」
確認はしていないが、おそらく有志の中に宮崎の名前が入っていたのは、高知の仕業だと予想はついている。
となれば必然的に、そのメンバーの中には当の本人もいるはず。
何か一言言ってやらねばと、先に歩き出した宮崎のあとを、柚花が小走り気味に追いかける。
天気は快晴、まさにバーベキュー日和。
二人が突っ切っていく校庭には、既にバーベキュー用のコンロがいくつも準備してあり、火が入るのを今や遅しと待ち焦がれていた。