今年の夏もキミを想う…。
入って最初に鼻をついた下駄箱の匂いに、思わず懐かしさで宮崎の表情が緩む。
整然と並んだ下駄箱は昔と変わらず、長い年月を感じさせる姿そのままにそこにあった。
「変わらないな……」
自然と口からこぼれ落ちた言葉に、来客用のスリッパを出していた柚花が、顔を上げて答える。
「変わったのは……女子トイレの水道と、あと教室の電気だけです」
はにかむように笑った柚花につられて笑みをこぼし、宮崎は「ありがとう」と準備されたスリッパに足を入れる。
柚花も自分の下駄箱から内履きを出して履くと、先に立って先導するように歩き出した。