今年の夏もキミを想う…。
「何それ軽っ!?」
「和果子が一言でいいって言ったんだろ」
「“一言くらい”って言ったの!“一言でいい”なんて言ってない!!」
「うるさいやつだな。な?若様」
若様はいつの間にか地面にどっかりと腰を下ろしている。
どうやら挨拶代わりの撫で撫でが相当お気に召したらしい。
「あーもう、座り込んじゃった。最近足腰も弱ってるから、一度座っちゃったら中々立たないんだからね」
和果子のため息混じりの声を受け流しつつ顎の下を撫でていると、不意に若様が宮崎の後ろのポケットに興味を示した。
正確には、そこから僅かにはみ出してひらひらと揺れている物に。
若様は、鼻を近づけてくんくんと匂いを嗅ぐ。
「食べちゃダメだぞ、若様」
「このこはヤギか!」