今年の夏もキミを想う…。
「まだ朝ですけど」
そう、朝だ。
正確には、お昼よりちょっと前くらいの微妙な時間。
いずれにせよ、肝試しにピッタリな時間帯でないことだけは確かだった。
「うん、明るいうちにやるのも、なんか斬新で楽しいかなって思ったんだけどさ。やっぱり雰囲気が出ないよね。あとお化けも出ないしね」
どうやら脅かし役がいる方の肝試しではなく、本物のお化けに期待している方の肝試しだと知って、宮崎は疲れたようなため息をつく。
「なんでもいいですけど、今日は最高気温が三十度超えだそうなので、この一番暑苦しい時間帯に外に出るのは遠慮させていただきます。溶けるんで」
「じゃあ、夜ならいいってことだよね!」
しまった…と思った。
思って慌てて言い直そうとしたが、もう遅い。
「なら夜になったらまた迎えに来るから!準備して待っててね。そうだな……八時半頃に!!」
「先輩、俺まだ行くって言ってな……」
「よしっ!そうと決まったら早速ゆずちゃんのところにも行ってこないと」