今年の夏もキミを想う…。
宣言通り八時半に柚花を伴って現れた高知に連れられ、和果子を迎えに行って向かった先は、民家も外灯もない闇の中で不気味な存在感を放つ階段。
そこは昔から、その不気味すぎる雰囲気のおかげで、勝手に“心霊スポット”と名付けられた哀れな場所でもある。
「この階段をのぼった先にね、鳥居があるんだ。んでその奥に、今は使われていない神社があるわけ。昼間一度来て確かめたんだけど、噂通り中々雰囲気があっていい感じなんだ。だから、二人ひと組でこの階段をのぼって、鳥居をくぐった奥にある神社まで行く。そしたら、お賽銭箱の上にある鈴を鳴らす。鈴がなったら、次の組みがスタートってことで、どうかな?」
「最初の組が戻ってきてから、次の組みがスタートした方がいいんじゃないですか?」
宮崎の最もな提案に、高知は意味ありげな笑みを返す。
「でもそれだと、最初の組はもう一度階段をのぼってこなくちゃいけなくなるから、二度手間なんだよね」
「……はい?」
意味深な高知の言葉に、宮崎は首を傾げる。