俺様ドクターに捕獲されました
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その決断をしたときに、後悔なんて絶対にしないと思った。何度も悩んで、恐怖に震えながらもそうすると決めたのだから。
なのにーー。
「次に会ったとき、覚えとけよ……だとさ」
いまだに、あのときの行動が正しかったのかを悩むのは、その言葉を聞いてしまったからなのだろうか。
次……なんてないはずだ。そんなものがあったなら、それはもう、“運命”とあきらめるしかないのかもしれない。
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小さな茶色の小瓶を手にとって、そっと蓋を開ける。ポトリとガラスのビーカーに落とすと、柑橘系の爽やかな香りが広がった。
思わず頰が緩みそうになるが、まだまだ気を抜いてはいけない。これが一番、大事な作業なのだ。
もうひとつ小瓶を手にとって、慎重に量を調整しながら数滴落とし、また違う小瓶で同じ作業を繰り返す。
それをガラスの棒で攪拌すると、ガラスぶつかり合うカチャカチャという音が響く。
穏やかなBGMが流れるだけの静かな空間に、その音は思いの外、大きく響いた。
ガラスの棒を置いて、香りをたしかめてからほっと息をつく。
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