俺様ドクターに捕獲されました
「でも、恋人じゃないって本当なんですか? 最初に挨拶にきたときに『大切な子』って、言われてたのに」
「本当ですよ。昔からああなんです。私のことなんて、なんとも思ってないくせに自分のもの扱いで。家来かなにかだと思ってるんじゃないですかね」
今日見た光景を思い出してムッとしながら唇を尖らせる私に、飯嶋さんは不思議そうな顔で首を傾げる。
「えー、でも……。ふがっ」
「まあまあ、いいじゃん。なーんか面白いことになりそうだから黙っとけ」
なにか言おうとした彼女の口を、満面の笑顔の井坂さんが塞いだ。ニコニコして彼女を羽交い締めにする彼を見て顔が引きつる。
あー、この人もですか。本当、なんで私のまわりにはこんな食えない人ばかり集まるんですかね。
羽交い締めにされたうえに、口も塞がれた飯嶋さんが不服そうな顔で井坂さんを見上げる。
「……そんな目で見るなよ。邪魔はしないって、傍観するだけ。あ、お店そこですよ」
なにやら目だけで会話が成立したらしいふたりに続いて、今日の飲み会の会場であるお店に入る。
駅の近くにある創作居酒屋は、高台東病院の職員御用達の店らしい。席に案内されて飯嶋さんとおしゃべりしていると、賑やかな声とともに今日の飲み会の参加者たちが個室の中に入ってきた。