俺様ドクターに捕獲されました
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「えー、じゃあ本当に付き合ってなかったんだ」
「う、うん。付き合ってなかったよ、先週までは」
彼と思いを通じ合わせた次の週、ケアを手伝ってくれている莉乃に彼とのことを報告する。莉乃には、メールで途中で帰ったことを謝ってはいたが、彼のことは話していなかった。
「にしても……宇佐美先生が恋人かぁ。なんか想像できないな。ふたりのときって、宇佐美先生、どんな感じなの?」
「どんなって……普通だよ。あ、スキンシップは、多いかも」
それに、かなり甘い。俺様っぷりは変わらないが、それ以上にベタベタくっつかれて、夜中に帰ってきた彼に撫で回されて起きるくらいだ。
恋人には甘々なタイプの人だったのかと、正直驚いている。
まあ、嫌ではなくて、むしろうれしいのだけれど。私以外の人にもあんな姿を見せていたのだと思うと少し妬ける。それは、私が知らなかった一面で、私もなかなか嫉妬深いみたいだ。
「へえー。病院だと宇佐美先生って、誰にでも同じ態度で一線引いてる感じだけど、恋人には甘えたい人なのかな」
「甘え……とは違う気がするけど」
どちらかというと、ペットを愛でる感覚に近いような……。
あの日も一緒にお風呂に入っただけで、キス以上のことはしてこなかった。
それにいつもの触れ方も、そういう下心を一切感じないのだ。そりゃ、初めてだから未知数な部分もあるけれど、果たして彼は私のことをきちんと『女』として認識しているのだろうか。