俺様ドクターに捕獲されました


「あー、失敗した。りいに服脱がせてもらえばよかったな」


な、なにを言い出すんだろう、この人は。寝るときも半裸だし、前にためらいもなく全裸になっていた。少し彼は、羞恥心というものが欠如してるんじゃなかろうか。


「それは無理。あ、じゃあ前みたいに髪洗ってあげるから。身体だけ洗っちゃってよ」

「身体は洗ってくれないのか?」

「なっ、そんなの無理に決まってるでしょ」

「わりと本気だったんだけどな。まあ、そのうちな」


本当にそのうちやらされそうだなと思いながら、彼が身体を洗い終えるのを待ち、入れ替わりで浴槽を出る。

前と同じようにバスタブの縁に頭をのせてもらい、シャンプーを手の中で泡立ててから濡れた彼の髪に触れる。


「あー、気持ちいい。りい、本当にうまいよな」

「そう? 看護学校で洗髪習うし、ヘッドマッサージも勉強してるからね。優ちゃんは、頭皮も硬いね。本当に、解しがいがある」


あ、そうだ。これは、あの話をするチャンスじゃないの。これを逃したら、またいつゆっくり話せるかわからない。


そう思った私は、頭のツボを押しながら気持ちよさそうに目をつむっている彼に話しかけた。


「あのね、優ちゃん。相談があるんだけど……」


私の話を目をつむったまま聞いていた彼は、難しい顔をして目を開いた。彼のまとう空気だけでわかる。これは、ダメって言われるな。

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