俺様ドクターに捕獲されました


予想通り、彼の返事はノー。賛成してくれると思っていただけに、受けたショックはなかなかに大きい。


「どうして? 私だって、少しでも優ちゃんの力になりたいと思ってるんだよ。佳乃さんに許可ももらったし」

「りいの気持ちはうれしい。でも、俺がいない日にも行くことになるだろ? だから、ダメ」


思いもよらない理由に、目を丸くする。


なに、それ。そんな理由なの?


あんまりな理由に腹がたった私は珍しく彼に食ってかかった。


「そんなの公私混同じゃない。優ちゃんがいなくても平気だし」


「俺が平気じゃない。こないだだって知らないうちに井坂と仲良くなって飲み会に行ってるし。りいは、男って生き物をわかってないからな」

「あれは……優ちゃんのせいでしょ。もうあんなことしないもん」

「ダメなもんはダメだ。公私混同だろうがなんだろうが、今は許可できない。職員へのトリートメントもやめろ」


これ以上の話はないとばかりに再び目を閉じた彼に、ムッとしながら立ち上がる。


それに気づいた彼が、再び目を開けた。逆らうわけがないと思っているのか、不思議そうな顔で私を見上げてくる。


その顔にまた腹が立って、踵を返して浴室を出た。


「おい、こら、待て。頭流してくれないのかよ」


そんな声を無視して、濡れたバスタオルを洗濯機に放り込んで新しいバスタオルと着替えを持ってバスルームを出る。

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