俺様ドクターに捕獲されました
「おい、りい!」
彼が浴室から私の名前を呼んでいるが、それを無視して寝室に入る。
急いで身体を拭いて服を着ようとすると、どんな早技を使ったのか、下着だけ身につけた彼が寝室に入ってきた。
「りい、ちょっと話……」
「きゃあっ!」
下着しか身につけられなかった私は、ズンズンこちらに歩いてくる彼から身体を隠そうと、布団が濡れるのも構わず慌てて布団の中にくるまった。
「ちょっ、こ、こっちにこないで!」
「なんでだよ。いいから、ちょっと話聞け」
逃げようとしたところを布団ごと抱きしめられて、耳元に唇が触れる。
「いいから、聞けよ。あのな、りい。昔よりはマシだが、俺はお前のことになるとめちゃくちゃ心が狭い。だから、心配なんだ。俺の目の届かないところで他の男にちょっかい出されたらと思うと我慢ならない。現に一回出されてるだろ?」
「井坂さんのこと? でも、井坂さんはちゃんと彼女が……」
「井坂じゃなくて、松浦。りいはそれもわかってないんだよな。亮太が邪魔しなかったらどうなってたか……。心配で仕事にならないから、本気で今は勘弁してくれ」
ため息混じりの彼の言葉に胸がズキッと痛む。
たしかに恋愛方面には弱いことは認めるが、それは彼にもせいでもあるのだし、もう少し信用してほしい。