俺様ドクターに捕獲されました
高台東病院は、地域密着型の病院だ。
彼の父親である院長の噂を聞いて遠方から受診する人もいるが、近隣の住民が患者数の大半を占める。
老若男女問わず多くの住民が高台東病院をかかりつけ医にしているが、入院患者となるとどうしても高齢者が増える。
そして高齢者の入院というのは、どうしてもその期間が長くなりがちだ。
現在の医療システムでは、入院期間が一定の期間を過ぎると病院側に入る報酬がガクンと下がる。長期入院患者を抱えている病院は、経営に支障が出てしまうのだ。
だが、高齢者が病気の治療をし、リハビリをしたとしても入院前と同じ状態に戻ることはなかなか難しい。
そうなると次の受け入れ先を見つけなければならないが、それを見つけるのも一苦労なのだ。三ヶ月経ったから退院してください、というわけにはなかなかいかない。
高台東病院も、現在、そういう状況というわけだ。さらに医師不足で、私が小さい頃より診療科目が減っている。おそらく、外来の収入も減っているのだろう。
私が来る回数を増やしたとしても、力になれることは少ないかもしれない。でも、私にできることはそのくらいだし、患者さんの回復を早める手伝いはできるのではないかと思う。
だけど、それも彼には迷惑なのかな……。
ここ数日、そんなことばかり考えて落ち込んでばかりいる。まるで出口のない迷路に迷い込んでしまったみたいだ。